犬物語

     

犬の物語ネタあれこれ


物語やエッセイに登場する犬と猫を見ると、彼らの性格の違いが如実に出ていますね。物語は、どれをとっても犬の性格が見事に描写されています。
 
児童文学の名作『フランダースの犬』に始まり、ノンフィクション『盲導犬クルールの一生』、『ベルナの一生』など、物語は、犬と人との深〜い交流を描く、胸にジ〜ンとくる感動系が多いですね。ティッシュなしでは読めないと言いましょうか。(以下敬称略)
 
犬好き作家には、やはり犬の物語が多く見受けられます。例えば、丸山健二には『シェパードの九月』、『夜、でっかい犬が笑う』など、豪快系の犬物語があり、何となく著者の雰囲気にぴったり。
 
犬が登場する作品が多い戸川幸夫は1954年、『高安犬物語』で直木賞を受賞しています。日本動物文学の名作、犬の物語中の物語ですね。
 
★お笑い系お犬物語
 
犬の物語と言えば、感動系だけでなく、お笑い系も結構あります。個人的に大好きなのは、『犬になりたくなかった犬』(ファーレイ・モウワット著、角邦雄訳、文春文庫)と『あの犬この犬そんな犬』(アントン・チェーホフ他著、務台夏子訳、東京創元社)。
 
『犬になりたくなかった犬』は、4セント(!)で買われた雑種犬マットが巻き起こすドタバタ爆笑犬の物語。このマット、一見単なる雑種犬なのですが、実は犬になりたくなかったらしい。突如、驚異的才能を発揮して周囲は唖然……。雑種犬が主人公っちゅうところが、気に入ってます。ドッグオーナーなら、「もしかして、ウチのコも…」なんて気になってしまいそうな作品。
 
『あの犬この犬そんな犬』は、キャッチコピーの“犬生いろいろ”に惹かれて買ったのですが、登場犬の個性が多彩で、1冊で11回楽しめました。犬の物語11篇を集めたアンソロジーです。
 
短編集では、『ドッグ・ストーリーズ』(上・下、ジーン・シントウ編、新潮文庫)も読み応え十分。現代英米文学を代表する作家たちによる、犬の物語ばかりを集めた傑作選です。
 
★個性的な犬物語
 
お笑い系からぐっと離れたところで、犬派にイチオシの犬の物語が『戦場をかける犬』(アンソニー・リチャードソン著、藤原英司訳、文春文庫)。1940年、戦場の廃墟で出会った子犬と亡命飛行士。深い絆で結ばれた人と犬の物語です。
 
ちょっと毛色の変わったところで、異色のミステリー小説『バベルの犬』(キャロリン・パークハースト著、 小川高義訳、角川書店)も、なかなか面白い作品です。
 
突然妻を亡くした、言語学者のポール。警察は事故死と断定するも、納得出来ないポールは、唯一の目撃者である愛犬ローレライに言葉を教え、死の真相を聞き出そうと思いつきます。
 
ローレライへの言語レッスンに励む日々は、愛した妻との生活をもう一度なぞる旅の始まるでもあったのです。果たしてローレライは、ポールに真相を伝えられるのか……。
答えは、読後のお楽しみっ!
 
いかにも犬好きC・W・ニコルらしい犬の物語が『人生は犬で決まる』(鈴木竜一郎訳、小学館文庫)。豪快ながらも哀愁を帯びた、一匹の“オトコ”の物語です。タイトル訳がウマい!
 
★どうぶつたちへのレクイエム
 
犬の物語のうち、犬モノのエッセイやノンフィクション本はとても多くて、どれも実話だけに胸にグッと来るものばかり。
 
中でも、忘れられないのが『どうぶつたちへのレクイエム』(児玉小枝著、日本出版社)。2005年2月に刊行されるや、大きな反響を呼んだ写真集です。
 
同書は以前、桜桃書房より、死を待つ動物たちの最期の肖像写真60点のほか、避妊・去勢手術や犬猫の正しい飼い方・しつけ方、里親制度など、動物と共生するために知っておきたいこと、考えたいことも盛り込んで出版されました。
 
しかし、出版社の都合により絶版。今回、新たに撮影した写真などを加え、リニューアル完全版として蘇った経緯があります。
 
この本は、本当に衝撃的でした……。読後も、死を待つつぶらな瞳の犬の写真がまぶたに焼きついて離れません。行き場のない犬猫たちに対しては、殺処分ではなく、イギリスのように保護する政策に転換してほしい。心からそう願っています。
 
”この写真を通して、ことばを持たないどうぶつたちの声なき声が、あなたの心に届きますように…
そして、狭く暗いガス室の中で、その短い一生を終える不幸などうぶつたちが、いつかこの地球上からいなくなりますように─。”(同書トップページより抜粋)
 
★盲導犬の老後
 
次に、犬の老いと死を追った1冊をご紹介します。
 
『リタイア 盲導犬の老いを見つめて』(郡司ななえ著、ハート出版)は、ベストセラー『ベルナのしっぽ』の著者による盲導犬の物語。
 
リタイア後の盲導犬の生活を、老犬ホームやボランティアへの取材を通じて紹介すると共に、盲導犬ユーザーにも丹念に取材しています。
 
盲導犬の老いと死を見つめることは、人間の老いと死を考えることでもあると、改めて実感させられる一冊です。
 
                 
 
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