シンガポールコラム☆日本人あわや第5回 日本人、あわや御用?! (後編) |
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(第4回の続きにゃ!) しっかり酔って負傷した茶ん太は、ワケがわからないままに、近所にある総合病院へ救急車で運ばれたのであります。たまたまこの病院は、シンガポールで最も外科が権威あると言われる病院なんですわ。シンガポール島内はもちろんのこと、近隣諸国からも重傷患者さんの救急搬送が行われることもある病院で、屋上はヘリポート付き。兵役演習中(シンガポールは男子皆兵制)に負傷事故が起きた場合も、この病院に運ばれることが多いようです。 さてはて、救急治療室(米TVドラマ『ER』が登場するずっと前ネ)の看護師さんは、担架で運ばれた茶ん太を見るなり、「ちょっと、アンタ、酔っ払ってんの? 一体どうしたっ? 目を開けなさい!」と、キツイ口調でのたまうが否や、我が愛しのホッペをビシバシと叩いたのです。ぎょえっ、ちょっと、いきなり何すんの! この時、茶ん太は必死で目を開けていたんですが、なにぶんにもまだ酔っていて意識朦朧状態。 「あのう、目は開けてるんですけど……」と怪しい英語で応えると、「えっ、アンタ、これで目が開いてんの? ずいぶんちっこい目ね」と冷たく言われ(余計なお世話だっ!)、着衣をチョキチョキとハサミで切られ始めました。 その時の茶ん太のお召し物は、Tシャツ&短パンっちゅう普段着ではありましたが、履いていた短パンは、外地で買った思い出の品。「あっ、あのう、パンツは切らんでおくんなせぃ〜」と訴える間もなく、あえなく我が短パンはゴミ箱行きと相成ったのでした。(>_<) で、その後の記憶はどーも定かではないんだす。精神安定剤を注入されたらしく、すっかり平和な眠りについてしまったようでして。何が起きたのか皆目経緯がわからず、うろたえる友人を残して……。 ★突如登場した見知らぬ男子の正体は… やがて、気持ちよ〜く寝ていたら、誰かにしつこく揺さぶられて起こされました。「グッドモーニング! グッドモーニング! ハロハロ〜! ちょっと、アンタ、起きて!」。やけにうるさいっ! ぼ〜んやりと夢の世界から現実に引き戻され、必死になって目を開けると、見知らぬ男子が、何やら黒いモノを手にベッド脇に立っているではありませんか! 一瞬、“誰どこ?(ココはどこ?私は誰?)”の世界にいた私は、オボロゲに洗いダヌキ転落事故→救急車搬送を思い出しました。そうだっ、病院に運ばれたんだった。っちゅうことは、ココは病院のベッドか……。 コンタクトレンズを外しているから、とにかく目が見えない。なぜにオノコがいるのか全くわからんし、彼が何を手にしているのかも全然わからない。枕元にあった腕時計を見ると、時刻は午前1時過ぎ。真夜中じゃん! 「こんな時刻に困ったにゃ〜」とぼんやり思っていると、彼はバリバリのシングリッシュ(シンガポール訛りの英語)で元気良く、こう言いました。「アンタね、罰金1,000Sドル(当時約8万円)、禁固1年になるかもしれないよ〜ん」。 ぎょえ〜、罰金?! 禁固刑って、何のこと?! ココで、しかと正気になり、おメメがパッチリ開いたのは言うまでもありません。そして、シンガポールの常識=日本じゃ全然常識じゃない、とあることを思い出しました。そうなんです、シンガポールじゃ、自殺未遂は犯罪行為に当たるんですわ。 そりゃそうだ、私は手首を深く切っているし、付き添ってくれた友人もケガをした経緯を何も知らないから、きっと自殺未遂と誤解されたんだ。病院側にしてみれば、自殺未遂らしき酔っ払ったヘンな外国人が運ばれた、っちゅうわけで、警察に通報したのであろう。 とまあ、ボケ気味の頭なりに推理を働かした茶ん太は、ヒジョーに焦りました。まさか誤解されたまま、ムショ暮しなんかしたくないもんね。罰金も払えないもん。 見知らぬ男子は、案の定、某警察署の刑事だと名乗りました。 彼が手にしていたのは、警察手帳だったのです。 まるで、TVドラマみたい〜! ★真夜中の取り調べ! 焦りまくった茶ん太は、いつになく流暢な英語(ウソです、ヘタです)で事の顛末を説明。話しながらね、「何で知らんオッサンに、『ワタクシは仕事のことやら何やらで、ちょっと気分がブルーになり、飲み慣れないワインを自宅で一気飲みしちゃいました』なんて説明せにゃならんのや!」とも思ったけど……まあここはひとつ、いい子になっておかないと大変なことになる、という判断だけは働きました。 ちょっと大袈裟かもしれないけれど、異国で暮らしていると、思わぬ時に国家権力の強大さ、恐さを実感させられることがあります。(←何やら急にマジ)平素は平和であっても、何らかの問題に巻き込まれたり、問題を起こしてしまった場合は、当局への対応が要注意なのです。 とゆーわけで、刑事サン相手にひたすら説明。質問もかなり細かいんですわ。「何でブルーな気分だったのさ?」に始まり、物干し台の高さとか、物干し棒の形状とか。まだ薬が効いている頭には、英語での質疑応答はキツかったけれど、ひたすらガマン。もちろん、最後には忘れず、「……とゆーわけで、自殺未遂なんかじゃないんですぅ」と強調しました。 話を聞くうちに、だんだん呆れ顔になっていった刑事サンは、最後に手帳をパタンと閉じ、「よっしゃっ! このケース、おしまい! アンタ、もう酒飲んじゃアカンよ。それから、アンタはいい友達を持ったね。あの人、アンタのことをとても心配して、『何かの間違いだと思うから、くれぐれも裁判沙汰なんかにならないようお願いします』と頭を下げたんだよ」と語りました。 さすがに友の気遣いを耳にした時にはシュンとなり、「ヘイ、失礼致しましただ」と謝ったのであります。この友人には、一生頭が上がりまへん……。 これにてほぼ一件落着!ではあったのですが、結局その晩はほとんど眠れない、とほほの夜となりました。っちゅうのも、その日は一番安い大部屋(日本と同じく病室にもグレードがありんす)、とにかくおっきくてずら〜りベッドが並べられた病室に入れられたのですが、その病室には精神病患者さんが何人もいて、あっちでウ〜ウ〜、こっちでガ〜グ〜と、一晩中声が聞こえていたのです。安定剤の効き目は全く失せ、取り調べ後(!)の妙に冴えた頭のまま、夜明けを迎えたのでありました。 翌日、傷口を丁寧に縫ってもらい、翌々日無事に退院。「もうこの病院にお世話になることもあるまい」と感慨にふけりつつ去ったのですが……十年以上後に、またまた入院するハメに陥るとは、その時は夢にも思いませんでした。 Copyright (C)動物らんど All Rights Reserved. |
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