人付き合い

  

人付き合いの実態は…


ご飯配り稼業を続けていると、いろいろな人との出会い、人付き合いを経験する。嬉しい経験もあるし、不快な経験もある。
 
★袖触れ合うも多少の縁
 
嬉しいことの筆頭は、見知らぬ御仁からの激励や、同業者(!?)との励まし合いだ。我輩の路地裏での人付き合いのお相手は、ほぼ100%猫好きの庶民である。
 
「アンタ、野良猫にエサやってんの? 偉いね。きっと神様のご加護があるよ」と声をかけてくれるおやじサンや、名前は知らないが、毎晩挨拶を交わす御仁もいる。
 
時として、中国大陸やインドネシア、マレーシア、インドから出稼ぎにやって来た労働者たちが「猫、好きなの? いいこと、してるね」と声をかけてくれることもある。
 
こうしたやり取りは、人付き合いと言うよりは「袖触れ合うも多少の縁」的なものだが、一瞬にせよ温かい気持ちになれる。
 
不快なことと言えば、ご飯配り地区の一部の商店主(居住地区ではないため、住民はいない)から叱責を受けることである。
 
「南国男の世界」で述べた某クラブのドイツ人オーナー然り、今は転居した某華人おやじ経営者も然り。この華人おやじには、再三に渡ってチクリチクリと怒られた。
 
★華人おやじと激突
 
ある土曜の夕方、この華人おやじと大喧嘩をやらかしたことがある。いつもは、商店街が静まる夜を待ってエサをあげるのだが、その日は夕食時に友人宅を訪問するため、早めに出向いてしまったのである。
 
野良相手にエサを与えていた我輩の姿を認めた華人おやじは、じわじわと嫌味を言い始めた。我輩の失策は、嫌味の連続パンチをぐっとガマンしていたものの、ついに怒りが爆発、英語で暴言をひと言吐いたことだ。
 
その途端、相手の怒ること、怒ること。極めつけは、「オンナだと思って大人しくしてりゃあ、いい気になりやがって」という台詞だった。この頃には、近隣商店の人たちも、目をまん丸にして成り行きを見物していた。
 
「ってやんでぇ! にゃめんなよっ! セクハラクソおやじめ!」と思いつつも、確かに暴言を吐いたことはいかんと反省。くやしいながらも、暴言に関しては謝った。
 
その後、このおやじには会わないよう気をつけたものの、たまに鉢合わせしてしまうことがあった。そんな時は、必ず無言で笑いかけ、決して言葉を口にしないよう気をつけた。
 
彼の方は、我輩の姿を見つけるたびに、「オメエ、その目障りな猫どもを持って帰んなよ。自分んちで、好きなだけ、エサをやれよ」と何度ものたまった。
 
もちろん、既に自宅には何十本もの足を抱えており、これ以上拾えないことなぞ、決して口にはしなかった。
 
★人付き合いから学んだこと
 
我輩が路地裏の人付き合いから学んだこと。それは、世の中には動物嫌いの人がいて、そんな人にとっては野良猫へのご飯配りなどもってのほかである、ということ。
 
個人的な好き嫌いはさておき、動物嫌いの人がいることを理解しなければいけないし、ご飯配りを嫌がる人とのケンカは避けるべし。
 
ご飯配り自体は、全く悪いこととは思わないので、今もメゲずに続けているが、「ケンカは2度としてはいかん」と自戒している。最悪の場合、犠牲となるのは、何の罪もない猫たちだから。
 
マレー系には猫好きな人が多い、と何度も述べたが、もちろん人それぞれである。
 
2年程前には、ある日突然、マレー系の某商店主から「アンタ、この辺でエサをやるな。お陰で商売あがったりだ」と苦情を言われ、仰天したことがある。
 
と言うのも、当時、その地区でご飯配りを始めて既に5年以上経過しており、その商店主も我輩の姿をずっと認めていたはずだからである。
 
“商売あがったりだ”と言われても、店の真ん前でエサをあげた覚えは皆無で、常に人通りの少ない裏路地を選び、夜を待ってご飯を配っていたから、「言いがかりもいいところじゃ!」と思った。
 
でも、その時は、前述の華人おやじとケンカした後だったので、学習を積んだ我輩は、怒りをぐっとこらえ、ニヤニヤと笑いながら無言を貫き通した。
 
           ☆     ☆     ☆
 
華人おやじもマレーおやじも転居し、今は、我輩のご飯配り地区からいなくなった。幸いなことに、最近は苦情を言われることもなく、平和な日々が続いている。
 
商店主も様々で、中にはドライキャットフードを常備し、野良猫用の飲み水置き場まで作っている人や、自分の食事の残飯をそっと路地裏に置く人もいる。
 
コジャれた中東料理レストランのシェフも猫好きらしく、毎晩会うたびに声をかけてくれる。こうした人付き合い、と言おうか触れ合いは有難い。
 
我輩と同じくご飯配りに励む同業者(多くはマレー系男性)の存在も心強い。
 
人間社会は往々にして、経済開発の度合いに反比例して人情味が薄れていくように感ずるが、都市国家シンガポールでは、細々とながら路地裏にはまだ人情が残っている。
路地裏での人付き合いを通じて、つくづくそう思う。
 
                 
 
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 日本はサクラがあるからいいよん。
 今日もにこにこ、お散歩だにゃあ。

       (C)Naomy
 
 
 
 
 
 
 

 ウチら、付き合いいいよね。
       (C)Naomy

 
 
 
 
 
 
 

     三角関係のもつれ……?
 
 
 
 
 
 
 

   シンガポール最大のモスク
 
 
 
 
 
 
 

     ん〜、平和だにゃあ〜。
 
 
 
 
 
 
 

  毎日、コーラン聞いてんの。
 人間の付き合いも大変だにゃあ。
 
 
 
 
 
 
 

   ト ラ「ウチらも、元を正せば
       アカの他猫よねぇ」
   茶トラ「んにゃあ、お互い
       よく太ったにゃあ」

       
 
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